シニア世代に関するコラム 07/12/24(2)

自費出版ドットコム・イープレス TOP > シニア世代に関するコラム 07/12/24(2)

シニア世代に関する コラム バックナンバー・タイトル一覧を見る

投稿コラム 07/12/24(2)

源氏物語『若紫』(2)

by<いーこえモニター・メンバー>つぶみかん

SUMMARY

古典のことなんて、全然わからないという人でも、読んでいるうちにはまってしまうのが、『源氏物語』だと思います。なので、皆さんにご紹介したいと思います。

前回ご紹介した、源氏物語『若紫』の現代語訳です。

日もたいそう長い上に、することもなく退屈なので、夕暮れがたいそう霞んでいるのに紛れて例の小柴垣のあたりにお出かけになる。惟光朝臣とお覗きになっていると、すぐ目の前の西面で、持仏をお据え申して勤行する尼なのであったよ。

簾を少しあげて、お花をお供えしているらしい。中の柱に寄りかかって座って、脇息の上に経を置いて、たいそう大儀そうに読んでいる尼君は、普通の身分の人には見えない。

四十歳過ぎぐらいで、大変白く気品があってやせているが、頬はふくらかで、目許のあたりや、髪がかわいらしく切りそろえている末端も、かえって長いよりもこの上なく今風だなあと、しみじみと心惹かれてご覧になる。

こざっぱりとした大人が二人ほど、それから子どもが出入りして遊んでいる。その中に、十歳くらいであろうかと思われて、白い衣や山吹などの柔らかになっているものを着て走ってきた女の子は、たくさん見えていた子どもと似ているはずもなく、すばらしく成人後の美しさが思われてかわいらしい顔立ちである。
髪は扇を広げたようにゆらゆらとして、顔はたいへん赤くして立っている。

「何事ですか。子どもたちとけんかをなさったのですか。」といって、尼君が見上げた顔立ちに少し似ているところがあるので、子どもだろうかとご覧になる。「雀の子を犬君が逃がしてしまったの。伏籠の中に入れておいたのに。」といって、たいそう残念だと思っている。
ここに控えていた大人は、「いつものようにうっかり者が、このような悪さをして、叱られるのは、本当にとんでもないこと。どこへ逃げてしまったのでしょう。

とてもかわいらしくだんだんなってきましたのに。からすなどが見つけてしまったら大変だわ。」といって、立っていく。
髪がゆったりとして、たいそう長く、見た目がよい人でるようだ。
少納言の乳母と人が読んでいるらしい人は、この子の世話役であるにちがいない。「まあ、幼いことよ。たあいなくいらっしゃることよ。
私の今日か明日かと思われる命を何ともお思いにならないで雀の後を追いかけなさっていることよ。

仏罰を受けることになりますよと、いつも申し上げていますのに、情けないことよ。」といって、「こちらへ。」というと、膝をついて座っている。

顔つきはまことにかわいげな様子で、眉のあたりがほんのりと美しく、あどけなくかき上げている額の様子、髪の生え具合、大変かわいらしい。成長していく様子が見たい人だなあと、見つめなさる。というのも、この上なくお慕い申しているお方に大変よく似申されていることが、じっと注目されるのであったと思うにつけても涙がこぼれ落ちる。

尼君は髪をかきなでながら、「髪をとかすことをいやがっていらっしゃるけれど、きれいな御髪ですこと。大変他愛なくいらっしゃることが、不憫で気がかりです。このくらいの年齢になれば、それほど子どもっぽくない人もいるのに。

亡くなった姫君は、十歳ぐらいで殿に先立たれなさった頃、たいそう物事については理解なさっていたことだよ。
今すぐにでも、私があなたをこの夜に残して死んだならば、どうやって世をお過ごしなさるのでしょう。」といって、たいそう泣くのをご覧になるのも、訳もなく悲しい。幼心にも、さすがにじっと見つめて、伏し目になってうつむいているのに、こぼれかかる髪が、艶々とすばらしく見える。

成長した後どういうところで暮らしていくか分からない若草のような子どもを残していこうとする露のような私の命は消えようにも消え る空のないことだ。

また控えていた女房が、本当にと泣いて

初草が成長されるその行く末も分からないうちにどうして露が消えようとするのでしょうか

と申し上げているときに、僧都が向こうから来て、「こちらは丸見えではございませんか。今日に限って端にいらっしゃいましたねえ。
この上の聖の僧坊に、源氏の中将が、おこりのまじないにおいでなさったことをただ今聞きつけました。

たいそうお忍びになっていらっしゃったので、存じませんで、こんな近くにおりましたのにお見舞いにも参上致しませんでしたよ。」とおっしゃるので、「あらまあ、困ったことよ。このようなみっともない様子を誰かが見てしまったでしょうか。」といって簾をおろした。
「この世に評判が高くていらっしゃる光源氏をこのような機会に拝見申し上げませんか。

世を捨てた法師の心にも、まったく世の中の辛さを忘れ、寿命が延びるお姿でございます。さて、ご挨拶申し上げましょう。」といって立つ音がするのでお帰りになった。

いかがでしたか??少し、この物語に興味を持っていただけたでしょうか??もし、そうなら幸いです。

☎ お客様相談窓口(電話相談サポート)

イープレス・自費出版ドットコム(株式会社メルリンクス)
お客様相談窓口

電話番号03-5923-3511  FAX03-5923-3512

「身近な人に配る自費出版(私家本)」や「ネット書店流通の自費出版サービス」について、ご相談等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
→お問い合わせフォーム

自費出版(句集・自分史等の各種図書出版)サービスサポート
[電話相談サポート] TEL: 03-5923-3511
FAX: 03-5923-3512
E-mail: info@jihi-syuppan.com

≪お問い合わせフォーム≫
自費出版・個人出版のお問い合わせ、および、ご質問につきましては、こちらの【お問い合わせフォーム】でも受け付けております。

お電話[ 03-5923-3511 ]やFAX、メールでも承っております。

≪お問い合わせメールアドレス≫
E-mail: info@jihi-syuppan.com

受付時間: [電話相談サポート] 月~金 10:30~18:30

  • 打合せ等のため、日によっては、受付時間を18:00までとさせていただく場合がございます。予めご了承ください。
  • 上記以外の日時でも、弊社スタッフが在社していれば、対応が可能でございます。お急ぎの場合は、一度おかけください。
  • [メール・FAX]随時受付